
ALT 「魔王の甘え方」 テディにさらに1点決められてからのハーフタイム。 作戦ボードと監督を、ブルーロックスが囲んでいる。 後半戦、逆転に向けてまず投入されるのはちぎりんとくろにゃんだった。 まだ出番じゃないことに思う所がないわけないけど、凛ちゃんでさえ暴れていないので我慢する。それからいつ出番がきてもいいように作戦ボードを見ながらこれからの試合展開を思い描く。ベンチで監督たちの「ゲス」とか「カス」とかいう大人げない小競り合いを聞くのも楽しいけど、それより早くサッカーしたい。 おおよそ布陣について話し合ったあと、手を挙げたのは潔だった。 「フォックスについて思ったことが一つあります」 0→1の話。 こういうことを話すとき、潔はすごく生き生きする。 五感を総動員して感じ取ったことを言語化し、投げかける形をとりながら自分の考えを理解させるのが上手い。

ALT やってることは怖いのに、その目があまりにも純粋でただのサッカー馬鹿でしかないからみんな引き込まれてしまう。潔世一の発する一語一語が、チームのうねりの中心になる。 それからいくつかの確認のあと全体集合が終わって、残りの時間で個人の細かい打ち合わせに入った。俺の耳にはたまたま愛空たちの声が聞こえてきたんだけど、守備陣のミリ単位のポジション確認はもはや職人同士の会話だ。こうしてFWは阻まれるわけかと勉強にもなる。 そうやって集中していたから気付かなかった。 潔がこっちに来ていたこと。 「蜂楽」 呼ばれて顔をあげると相棒が立っていた。ユニフォームは着ていて、でもタオルで顔半分が覆われたままで、目元しか見えない。 俺は立ち上がった。 「うん」 どうした、と覗き込む。 そろそろ行かなきゃならないタイミングで、なんでこっちにきたんだろうって考えて。













