働くな、没頭しろ。1行もコードを書けないまま、個人開発した流通総額100億円のSaaSでメシ食ってます。小さい会社の事業づくりを、意思決定の現場から書いています。投稿コンテンツは固定ポスト以外AI併用。やるしかねえ。Don’t Work!

食い方診断→
Joined November 2021
ひとつの節目ということで、自分の人生について書きました。
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個人開発者が起業で一発当てたいなら『学研の2011年に学べ』という話を解説します。 2026年10月26日、学研ホールディングスはグループのメディカル・ケア・サービス、それにサイエンスと組んで、大阪・関西万博に出展された「ミライ人間洗濯機」の技術を入浴介助に使う構想を発表しました。11月から、メディカル・ケア・サービスが運営する介護事業所で実証を始めます。こすらずに汚れを落とすお風呂で、入居者と介助する職員の負担を軽くするのが狙いです。介護の人手不足が深刻になるなか、入浴介助は体にも時間にも負担の大きい仕事です。そこに学研が手を打ったわけです。 そんな学研ですが、実は介護がかつて売上のわずか2%の事業だったことはご存知でしょうか? 2000年代の学研は存亡の危機にありました。2006年から4期連続の営業赤字。2008年には五反田の本社ビルを売り、2009年には看板誌『学習』『科学』の休刊を発表します。2006年に高齢者住宅の第1号「ココファン」を開いてはいましたが、介護の売上はグループ全体の2%ほどで、新規事業は赤字のままでした。 2010年に社長になった宮原博昭氏は、まず不採算事業やコストに手をつけて黒字化を急ぎます。そして2011年、サービス付き高齢者向け住宅への投資を本格化し、1年目で15棟を開きました。社内や投資家からは「本業がこれだけ苦しいのに、なぜ赤字事業を拡大するのか」と反発もあったそうです。15棟の結果は、宮原社長の感覚で「10勝5敗」。それでも「赤字でしたが、授業料だと思っていました」と話し、負けた5棟よりも勝てた10棟の理由を調べました。何室がちょうどいいのか、何か月で満室になるのか。そうしたデータを積み上げていったのです。 ここからが本題です。今日の人間洗濯機のニュースは、15年前に売上2%の赤字事業へ張った人がいたから生まれたものです。介護を大きく育てていなければ、新しい入浴の技術を自社の事業所で試すこともできなかったはずだと私は見ています。小さな事業の価値は、いまの売上ではなく、続けた先で何を試せる場所になるかで決まります。 ちなみに、私が個人開発した決済導入支援SaaS『Apps』も、最初から大金をかけて作ったわけではありません。最初のプロトタイプは、エンジニアに見積もってもらうと10万円でした。そこで「10万円でできるところまで」とお願いし、あとは毎月少しずつ依頼を足していきました。気持ちとしては、お金のかかる趣味に近かったと思います。そうやって足し続けるうちに、雪だるまのように大きくなっていきました。その結果、Appsは4年で流通総額100億円を突破しました。 学研と同じで、小さな事業でもお金を入れ続けたから、あとで勝負できる大きさに育ったのです。 さて、ここから私たち個人開発者が何を学べるのか整理します。 ❶小さな赤字事業を「お荷物」と決めつけない →売上の2%でも、伸びる市場にいるなら次の柱の候補です。手元の副業や小さな機能を、いまの数字だけで切らないでください。 ❷最初の負けは授業料として予算に入れておく →学研の1年目は10勝5敗でした。個人開発でも、最初の何本かは外れる前提でお金と時間を決めておけば、焦らずに勝てた理由を調べられます。 ❸続けた事業が、次の技術を試す現場になる →学研は介護の現場を持っていたから、人間洗濯機の実証を自社で始められます。お客さんと現場を手放さずにいれば、新しい道具が出たときに真っ先に試せます。 というわけで、学研の事例を参考に、手元にある売上の小さな事業や機能を一つ選んで、来月はもう少しだけお金と時間を入れてみてください。 結論。 売上2%でも、市場が伸びるなら張る価値があります。最初の負けは授業料として見込み、勝てた理由のデータを取りにいく。続けた人だけが、次の波を自分の現場で受け止められます。 やるしかねえ。Don’t Work!
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個人開発者が起業で一発当てたいなら『カルビーの1964年に学べ』という話を解説します。 カルビーの江原信社長が、東洋経済オンラインの取材で「白黒ポテチ」を決めた舞台裏を語りました。 カルビーは2026年5月25日の週から、「ポテトチップス うすしお味」など14商品のパッケージを白黒2色に変えました。中東情勢の緊迫化で、ナフサを原料とするインクの調達が不安定になったためです。 江原社長によると、当時のインク供給は「何月の中旬までは保証するが、それ以降は分からない」という状態でした。九州や関東などで採れる芋は冷蔵倉庫に置かず、掘ったらすぐに使って売ります。パッケージがなくなれば製品にできず、芋がダメになってしまう。最低でも2〜3カ月分の在庫を持たせるには、色数をいちばん減らせる白黒にするしかなかった、という説明です。 そんなカルビーですが、実は看板商品のかっぱえびせんも、材料が手に入らない時代に生まれたことはご存知でしょうか? カルビーの前身は、1949年4月に広島市で設立された松尾糧食工業です。戦後の食糧不足の中で米は統制されていて、手に入りにくく値段も高いものでした。そこで創業者の松尾孝は、当時自由に手に入った米国産の小麦に目をつけます。小麦粉であられを作る技術を確立して、「かっぱあられ」を売り出しました。 1955年5月にカルビー製菓へ社名を変え、1964年1月にかっぱあられシリーズの最後の商品として出したのが、かっぱえびせんです。着想のもとは、川えび獲りの名人と呼ばれた少年時代に、母親が川えびで作ってくれたかき揚げだったとされています。茹でる、粉にするなどを試したうえで、生の小えびを殻ごとすり身にして生地に混ぜる作り方にたどり着きました。発売の翌年には、カルビー製品の中で売上No.1になっています。 ここからが本題です。60年以上を隔てていても、松尾孝と江原社長がしたことは同じで、足りない材料が戻るのを待たずに、いま手に入る材料で売れる形を決めました。米をあきらめた小麦のあられは、のちにかっぱえびせんにつながりました。白黒ポテチは、色を削る代わりに欠品を防いでいます。材料がそろうのを待つより、いまある材料で売れる形を決めた会社が、次の看板商品をつかみます。 ちなみに、私が個人開発した決済導入支援SaaS『Apps』も、大きな予算を組んで作り始めたわけではありません。最初のプロトタイプは、エンジニアの見積もりが10万円でした。そこで「10万円でできるところまで」とお願いし、あとは毎月少しずつ依頼を重ねて、雪だるま式に大きくしていきました。始めたときの感覚は、お金のかかる趣味に近かったと思います。その結果、Appsは4年で流通総額100億円を突破しました。 カルビーと同じで、手元にあるお金で作れるところから出したことが、あとで大きな商品につながったのです。 さて、ここから私たち個人開発者が何を学べるのか整理します。 ❶手元にある物で出せる形を考える →予算、時間、スキルのうち、いま使えるものだけで何が出せるかを考えます。そうすると、最初の一手がはっきりします。 ❷できない部分は最初から仕様にしてしまう →カルビーは白黒であることを隠さずに売りました。小さく始めるなら「ここまでしかできない」をそのまま出せば十分です。 ❸自分の昔の記憶を企画の材料にする →かっぱえびせんの原点は、母親のかき揚げでした。自分が好きだったものや困っていたことは、他の人には真似できない材料になります。 というわけで、カルビーの事例を参考に、いまある予算と時間で出せるものを1つ決めて、小さく世に出してみてください。 結論。 材料がそろうのを待っている間に、市場は他の誰かに取られます。いま手元にある物で出せる形を決めた人が、次の看板商品を持てます。 やるしかねえ。Don’t Work!
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個人開発者が起業で一発当てたいなら『チェキの2007年に学べ』という話を解説します。 富士フイルムは10月20日、インスタントカメラ「チェキ」のフィルムに約30億円を投じ、生産能力を26年度比で約2割引き上げると発表しました。拠点は神奈川県南足柄市の足柄サイトで、2027年春から順次動かし、28年春にもフル稼働させる計画です。チェキの25年度の売上高は2000億円。21年度から5期連続で過去最高を更新し、世界累計販売台数は2024年度末に1億台を超えました。 そんなチェキですが、実は一度、ピークの10分の1まで売れなくなっていたことはご存知でしょうか? チェキは1998年に発売され、2002年には年100万台を売りました。ところがカメラ付き携帯電話が広がると販売は急落し、2004〜06年は年10万〜12万台まで落ち込みます。2006年、同業他社がフィルム事業から撤退していく中で、富士フイルムは「写真文化を守り育てることが弊社の使命」として事業を続けると宣言しました。 転機は2007年です。韓国のテレビ恋愛ドラマにチェキが登場し、中国では有名モデルがブログで紹介したことで、販売は20万台に戻りました。その後は2009年49万台、2011年127万台と伸び、2018年には年1002万台、その9割が海外という商品に変わります。 社内では若手のマーケティングチームが、若者がチェキをコミュニケーションの道具として楽しんでいることに気づきました。そこで「カメラというモノ」を売るのをやめ、どう使えば楽しいかという「コト」を提案する売り方に切り替えます。ネット通販よりも、ユーザーの生の声を拾えるリアル店舗に力を入れたそうです。 ここからが本題です。チェキは、性能でデジカメに勝ち返したわけではありません。私の推測ですが、その場で一枚の写真を渡し合うという、デジタルでは代わりのきかない使い方を、海外の若者が先に見つけていたのだと思います。富士フイルムは新しい用途を発明したのではなく、見つけて、売り直しました。つまり、売れなくなった商品を立て直すヒントは、作り手ではなく使い手の手元にあるということです。 ちなみに、私が個人開発した決済導入支援SaaS『Apps』も、決済の仕組みそのものを新しく作ったわけではありません。固定費のかからないStripeは当時すでにありました。欠けていたのは、非エンジニアや小さな事業者でも迷わない言葉と、決済ページを作り上げるまでの手助けです。だから、リテラシーが低くてもStripeを使える管理画面と、人力の導入サポートを組み合わせました。 夜中に問い合わせが来ても、起きていればすぐに返す。そのやり取りが口コミになって、Appsは広がっていきました。その結果、Appsは4年で流通総額100億円を突破しました。チェキと同じで、売り方のヒントは会議室ではなく、使っている人の声の中にあったのです。 さて、ここから私たち個人開発者が何を学べるのか整理します。 ❶伸びない商品は、捨てる前に使われ方を見る →数字が落ちたプロダクトでも、一部の人が想定外の使い方で使い続けていることがあります。解約理由より先に、残っている人の使い方を調べてください。 ❷モノではなくコトを売る →機能の一覧ではなく「誰と、どんな場面で使うと楽になるか」を見せる。チェキは若者の使い方そのものを売り物にしました。 ❸生の声が届く場所に立つ →富士フイルムがリアル店舗を重視したように、個人開発者にとっては問い合わせ窓口やDMが店舗です。返信が速いほど、届く声も増えます。 というわけで、チェキの事例を参考に、伸び悩んでいる手元のプロダクトを、作り手ではなく使い手の目で一度見直してみてください。 結論。 衰退の多くは、商品の寿命ではなく売り方の寿命です。新しく作る前に、今ある商品が誰にどう使われているかを確かめる。次の売り方はそこから見つかります。 やるしかねえ。Don’t Work!
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個人開発者が起業で一発当てたいなら『アシックスの1951年に学べ』という話を解説します。 アシックスが、苦戦していた米国市場で復活しています。日本経済新聞は10月23日、安い価格帯の商品の販売を絞り、ランニング用の高機能シューズに特化したことで、米国でのブランド力が劇的に回復したと報じました。10月22日には米ミシガン大学の中に、同社として初めての海外の研究開発拠点も開いています。 記事の見出しは「ナイキと再逆転なるか」。ナイキは、もともとアシックスの前身の代理店から世界企業に育った会社です。かつて自分の靴を売ってくれていた相手に先を越された側が、もう一度追いつけるかという局面に来ているわけです。 そんなアシックスですが、実は創業3年目の1951年、夕飯のタコの酢の物から看板商品の靴底が生まれたことはご存知でしょうか? 創業者の鬼塚喜八郎は1949年3月に鬼塚商会を始め、同じ年の9月に鬼塚株式会社を設立しました。兵庫県バスケットボール協会の理事長に相談し、バスケットシューズを作ると決めます。そのとき言われたのが「選手の足の動きをよく見ろ」。鬼塚はコートに通い、選手の要望を聞いては改良を重ねました。 バスケは急に止まり、急に走り出す競技です。ところが靴は底が滑る。1951年の夏、夕飯に出た酢の物のタコの足に目が留まり、吸盤の形を靴底に使えないかと考えて、くぼみのある凹型の底を作りました。それでも最初は「鬼塚なんて知らない」と言われ、靴を担いで全国の大会会場を営業して回ったそうです。 ここからが本題です。鬼塚が1951年に解いたのは、「止まりたいときに止まれない」という選手の不便ひとつでした。いまの米国での復活も、安い靴で誰にでも売るのをやめ、走る人の足に効く高機能シューズに絞ったところから来ています。70年以上たっても、勝ち筋は変わっていません。勝つ商品は、客のひとつの不便を誰より近くで見続けた人から生まれるのです。 ちなみに、私が個人開発した決済導入支援SaaS『Apps』も、最初は売り物になるとは思っていませんでした。できたのはStripeとAPI連携して決済ページを作れるだけの機能で、付き合いのある事業者に無償で使ってもらうところから始めています。ところが、Stripeの管理画面に苦労していた人たちから、想像以上に感謝されました。その反応を見て商品として磨き直し、競合もほぼいなかったので、マイペースにPMFを目指せました。その結果、Appsは4年で流通総額100億円を突破しました。 アシックスと同じで、作るべきものは、身近な人が困っている様子を見ているうちに分かったのです。 さて、ここから私たち個人開発者が何を学べるのか整理します。 ❶客の現場に通う →鬼塚は選手の足をコートで見続けました。個人開発なら、使ってくれる数人が画面のどこで手を止めるかを、横で見るのが一番早いです。 ❷答えは身近なところで拾う →吸盤のヒントは夕飯の皿にありました。課題を頭に置いたまま暮らしていると、関係のないものが解き方に見えてきます。 ❸広く安くより、効く一点に絞る →アシックスは低価格品を減らして復活しました。小さく始める人ほど、全員向けを狙わず「この不便ならこれ」と言われる一点を作るべきです。 というわけで、アシックスの事例を参考に、まずは身近な一人の困りごとを、その人の現場で見るところから始めてみてください。 結論。 次に作る機能は、机の上ではなく客の現場で決める。安く広く売るより、ひとつの不便を確実に消す商品に絞る。小さな会社が大きな相手に追いつくなら、この選び方が一番確かです。 やるしかねえ。Don’t Work!
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【1人3000円の見舞金が、55億円の損失に】 カーシェア『タイムズカー』で、免許証の画像が漏れた話だ。 2026年9月25日の朝9時7分、運営するパーク24が、Webシステムへの不正なアクセスを見つけた。システムの弱点を突かれ、外へ送り出された跡が残っていたのは、氏名や住所、免許の情報で約663万件。暗号をかけて保管していた運転免許証などの画像で約146万件。10月23日、パーク24は画像が外へ出た客に、3000円相当の現金か金券を渡すと発表した。単純に掛けると約44億円。対応の費用を含めて55億円の特別損失を計上し、今期の最終利益の見通しを440億円から385億円に下げた。 約663万件という数は、今の会員数より多い。サービスを始めた2009年に860人だった会員は、2018年に100万人、2024年に300万人を超え、今年8月末に414万9000人になった。そこに、すでに退会した人の分まで残っていた。 画像も、会員でいる間に加えて、退会してから7年間持っていた。不正利用が疑われたときの対応や、問い合わせに答えるためだ。保有期間は、会社が自分で定めた基準だった。 「暗号がかかっていたなら、中身は見られないはずだ」と思った人は鋭い。実際、すぐに画像が見られる状態ではなく、売り買いや公開の事実も確認されていない。だが、パーク24は将来、暗号が解かれる可能性を否定しきれないとして、3000円を払う。払う額を決めたのは、中身が見られたかどうかではなく、外へ出た人数だった。 つまり、漏れた日の支払いは、人数で決まる。そして漏れるのは、預かっているものだけだ。預かる人数は、商売が伸びるほど増え、退会した客の分まで積み上がっていく。だから、人から何かを預かる商売は、売上を伸ばす前に、守りにお金を回すしかない。 ちなみに、非エンジニアの私が個人開発した決済導入支援SaaS『Apps』は、紹介報酬を振り込む口座を登録してもらうとき、運転免許証などの画像を預かる。名前と免許証と口座の名義が同じ人かどうかを、私が自分の目で見て承認している。画像は暗号化して保管し、承認か否認が済んだ分は残さない。暗号をかけていても、持っている限り、漏れた日には1人分として数えられるからだ。正直、消す仕組みで売上は1円も増えない。それでも、預かっているのが人の決済と口座だから、先に手を打つ。その結果、Appsは4年で流通総額100億円を突破した。免許証の画像を預かる商売も同じだ。確かめ終わった画像を持たなければ、漏れた日に数える人数が減る。 さて、ここから個人開発者が何を学べるか整理する。 ❶預かっているものを、人数で数える →店の引き出しにある免許証のコピー、スマホで受け取った身分証の写真、共有フォルダの申込書。何人分あるかを書き出す。パーク24と同じ1人3000円で掛けると、1000人分で300万円。見舞金だけで、その額になる。 ❷確かめ終わったら、持たない →パーク24は、会員登録が済んだら画像を持たないルールに変え、今ある画像も10月末までに消す。三菱UFJ、三井住友、みずほの3メガバンクは、ネットの口座開設で免許証を撮って送らせる方法をやめた。代わりに、マイナンバーカードなどのICチップを読み取る。国の決まりで使えなくなる2027年4月を、待たなかった。 ❸新しい機能の前に、守りの予定を入れる →機能を足して客が増えるほど、預かる人数も増える。次の機能を作る前に、預かったものの置き場所と、見てよい人と、消す日を決めておく。要望が先に届いても、順番は守りが先だ。 数えるだけなら、今日からできる。 結論。 1人3000円は、小さな数字に見える。だが約146万件分が外へ出れば約44億円になり、対応の費用を足すと55億円に届く。暗号をかけていても、払う額は人数で決まった。タイムズカーの件が示しているのは、攻撃の怖さではない。預かった人数が、漏れた日の支払いの上限を決めるということだ。つまり、人から何かを預かる商売は、売上を伸ばす前に守りの予算を組むのが、当たり前の順番になりそうだ。 やるしかねえ。Don’t Work!
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AI時代におけるものつくりとは何かを考えるきっかけになる。有料級。
任天堂・宮本茂氏の文化勲章受章が決定。『マリオ』、『ゼルダ』、『ピクミン』シリーズの生みの親。ゲームクリエイター初の受章 famitsu.com/article/202610/9… 任天堂入社から50年目(!)の節目。故郷の思い出からゲーム作りの哲学まで語られた記者会見を詳細リポート。ほぼ全文。約2万字です。
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気づいてるか? 「PHP2Shell」で14年前からの穴が見つかり、BASEやpixivが一晩で止まった。AIの発見と話題だが、このニュースの核心は「AIが怖い」ではなくて、 『穴が見つかる速さが上がるほど、更新を止めた古いサイトは、ある日そのまま閉じるしかなくなる』ことだ。その理由と新たなビジネスチャンスについて解説する。10月21日、OpenAIはPHPの本体に重大な穴が2つ見つかったと発表した。PHPとは、WordPressやネットショップの裏側で動くプログラムの言葉で、世界のWebサイトの約7割が使っている。 今回の穴は、ログインなしで外から他人のサーバーに好きな命令を実行させられるものだ。21日の夕方から夜にかけて、BASE、コドモン、pixiv、DMM.com、niconico、ウマ娘などが緊急メンテや一時停止に入った。直した版のPHPが出たのは日本時間23時だ。 結局は更新ボタンを押せば済む話、と思った人は鋭い。だが、今回の穴はWordPressではなく、その下で動くPHPそのものにある。スマホのアプリは自動で新しくなるが、サーバーのPHPは誰かが手で入れ替えない限り古いままだ。 この穴は、2012年に出たPHP 5.4から約14年、誰にも気づかれなかった。見つけたのは米国のセキュリティ企業Califで、8月にOpenAIのAI「GPT-5.6 Sol」を使って掘り当てた。OpenAIは、同じような発見が今後数カ月で急に増えると見ている。 穴は、見つかった日から直す側と悪用する側の競争になる。直し方が公開されると、どこを突けばいいかも同時に知れ渡るからだ。AIで穴探しが速くなれば、この競争の回数そのものが増えていく。新しい系列のPHPにはすぐ直した版が出た。一方、サポートの切れた7.4〜8.1には最小限の修正しか用意されず、それより古い版は新しい版へ引っ越すしかない。 車には車検があり、2年ごとに点検して、すり減った部品を替えながら乗り続ける。ただ古い車は、交換部品の生産が終わると修理が難しくなり、乗り続けるのをあきらめる人も出てくる。Webサイトも同じだ。手入れを続けたサイトは直した版にすぐ入れ替えられるが、何年も放置したサイトほど、入れ替えにかかる手間が膨らんでいく。 古い仕組みのまま続けてきたサービスは、ここで行き詰まる。『ワールドクエスト』は、古い仕組みの上で動いていて十分な対策が取れないとして、21日に即日終了した。『僕の魔界を救って!』も、22日に終了を発表した。どちらも2011年ごろに始まった古いゲームだ。直す手段のないサイトは、穴がひとつ見つかった日に閉じるしかない。 ちなみに、非エンジニアの私が個人開発した決済導入支援SaaS『Apps』は、管理画面を渡して終わりにしなかった。Stripeは既にあったが、小さな事業者には言葉も設定も難しかったからだ。だから人力の導入サポートを付け、夜中の問い合わせにも起きていれば即レスした。その結果、Appsは4年で流通総額100億円を突破した。同じ構造(作ったあとも人が手入れし続けること)が、今回のニュースの中心にある。 では、どう張るか。新しいビジネスチャンスは3つある。 「PHP棚卸し代行」ビジネス。地元の店や士業の古いサイトを調べ、PHPの版と更新が必要かを紙1枚で渡す。エストニアのPatchstackは『Patchstack Database』でWordPress周りの穴を無料公開し、2025年の新しい穴を11,334件と数えた。 「サイト見守りサブスク」ビジネス。更新が止まった小さな会社のサイトを月額で預かり、PHPの入れ替えまで引き受ける。米国のWP Buffsはジョー・ハワードが始めたWordPress保守の会社で、『Maintain』プランは週1回の更新付きで月89ドル。 「AI先回り診断」ビジネス。工務店や塾が自前で作った予約ページを、悪用される前にAIで調べ、穴と直す順番を一覧で渡す。日本のGMO Flatt Securityの『Takumi』は、AIでコードを調べて穴を探す診断で、試験運用の10日間で未知の穴を10件見つけた。 結論。 この流れで残るのは、新しいサイトを速く作れる人より、作ったサイトを動く状態に保ち続けられる人だ。穴はこれからも見つかり続け、そのたびに「直すか、閉じるか」の選択が小さな会社にも回ってくる。つまり、作ったあとのサイトを見守る小さな仕事が、ここから一番手堅い商売になっていく。 やるしかねえ。Don’t Work!
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気づいてるか? SpaceXが上場後初の黒字を出し、AI部門の売上は前年の約9倍になった。ロケットとGrokの話に見えるが、このニュースの核心は「AIの勝ち負け」ではなくて、 『ブームで一番確実にお金が入るのは、AIを作る側ではなく、作る人に道具と場所を貸す側だ』ということだ。その理由と新たなビジネスチャンスについて解説する。SpaceXはイーロン・マスク氏の宇宙企業で、2026年6月に株式を上場した。10月20日に出た7〜9月期の決算で、売上は145億ドル超と前年の2.6倍。純利益は44億ドルで、前年同期の約10億ドルの赤字から一気に黒字へ転じた。 伸びの中心はAI部門だ。売上は75.6億ドルと前年同期の約9倍で、全社の約半分を占める。増えた主な理由は、自社のAI「Grok」の人気というより、計算能力の貸し出しだ。 計算能力とは、AIを作り動かすための大量の専用コンピューター(中核の部品はGPUと呼ばれる)の処理力のこと。名前は難しいが、要は「AI用コンピューターの時間貸し」だ。毎日使うChatGPTのようなアプリの裏側で、作る会社がまとめて借りる設備になる。借り手にはClaudeを作るAnthropicやGoogleがいて、どちらもGrokの競争相手だ。 AIを作る会社は、計算を止めた瞬間に開発が遅れる。だから自分が勝てるか分からなくても、毎月の計算は止められない。すると誰が勝っても負けても、計算能力の需要は全員から出てくる。SpaceX自身もGrokで競争に加わりながら、ライバルのAnthropicとGoogleから料金を受け取っている。 花火大会の日、会場近くのコインパーキングは朝から満車になる。どの花火が一番きれいだったかに関係なく、停めた時間の分だけ料金が入る。AIを作る会社が借りる計算能力も同じだ。勝負の行方を当てなくても、勝負に参加する全員が使う。 もう一つ、見落とされがちな数字がある。全社の営業利益(本業のもうけ)の約85%は、今も衛星ネット回線のStarlinkから出ている。こちらも回線を毎月の利用料で使ってもらう商売だ。黒字を支える二本の柱は、どちらも借りた分、使った分だけ毎月お金が入る仕組みになっている。 SpaceXはこの3カ月だけで、AI向けの設備に約164億ドルを投じた。「それは何兆円も払える大企業の話だ」と思った人は鋭い。だが、借り手が本当に欲しいのは巨大な設備そのものではない。今すぐ、手頃な値段で、迷わず使えることだ。そこなら個人や小さな会社でも用意できる。 ちなみに、非エンジニアの私が個人開発した決済導入支援SaaS『Apps』は、ネット決済のStripeの使いにくさを埋める側に回った。小さな事業者には管理画面の言葉も決済ページ作りも難しかったからだ。料金は月額ではなく決済金額の2%だけにした。その結果、Appsは4年で流通総額100億円を突破した。同じ構造(主役の勝ち負けに賭けず、使われた分だけ受け取ること)が、今回のニュースの中心にある。 では、どう張るか。新しいビジネスチャンスは3つある。 「GPU時間貸し」ビジネス。手元の高性能PCや中古GPUを、AIを試したい個人開発者に時間単位で貸す。米国のVast.aiが運営する『Vast.ai』は、世界中の貸し手のGPUと借り手をつなぐ市場で、350超の独立した貸し手から1万7,000基以上のGPUが並ぶ。 「社内AI窓口」ビジネス。中小企業に、複数のAIを一つの画面で使える環境を月額で貸し、相談まで受ける。ドイツのLangdockが手がける『Langdock』は、各社のAIを社員に一括で配る仕組み。2023年創業で、ARR(年間の継続売上)は5,000万ドルに届いた。 「空き物件GPU置き場」ビジネス。地方の空き倉庫を、GPUを置きたい事業者向けに電気と冷房ごと整えて貸す。日本のハイレゾの『GPUSOROBAN』は、廃校など地方の空き施設を改装した拠点でGPUを貸すサービスで、石川・香川・佐賀に5カ所を開いてきた。 結論。 AIの主役争いは、これからも何度も順位が入れ替わる。その勝ち負けを当てる力より、作る人が毎月必ず使うものを手の届く値段で貸せる力のほうが長く残る。大事なのは設備の大きさではなく、借り手が途切れないことだ。つまり、勝ち負けの外側で毎月の利用料を積み上げる小さな貸し出しが、次の数年の主戦場になっていく。 やるしかねえ。Don’t Work!
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個人開発者が起業で一発当てたいなら『笠原健治の2013年に学べ』という話を解説します。 MIXIの写真・動画共有アプリ「家族アルバム みてね」の利用者が、2026年5月時点で3000万人を突破しました。そのうち約4割は海外のユーザーで、国内でもママとパパの65%が使っている(2024年12月時点)そうです。プレジデントオンラインによれば、この数字はmixiピーク時の約2700万人を上回ります。かつての看板サービスを、同じ会社の家族向けアプリが利用者数で追い越したわけです。 10月19日配信のAERA DIGITALでは、生みの親である笠原健治氏が、みてねがどうやって生まれ、どう広がったのかを語っています。 そんな笠原氏ですが、実はみてねが「自分の家の困りごと」から生まれたことはご存知でしょうか? 笠原氏がmixiの代表を退いた2013年、第1子が生まれました。遠方に住む両親に子どもの写真や動画を届けようと、既存のクラウドサービスを使ってみたものの、共有や振り返り向けに作られていないため、写真の選別は面倒で、動画は再生が遅く画質も悪い。そこで笠原氏は、自分で作ると決めました。 開発では0歳児のママ・パパ20組ほどにテストへの協力を頼み、サービス開始後は1年半ほど自らカスタマーサポートを担当。都内の公園に一人で出向き、チラシを配ったこともあるそうです。かつて約2700万人が使ったSNSの創業者が、公園で一枚ずつチラシを手渡していたのです。 ここからが本題です。みてねの3000万人は、大きな市場を狙った戦略から逆算して生まれたものではありません。創業者自身が親になって毎日ぶつかった不便を、自分で作り、自分で配り、自分で問い合わせに答えるところまで面倒を見た結果です。mixiで大成功した人でさえ、次の柱は机の上の企画書ではなく、自宅のリビングから見つけています。一番強い事業の種は、自分が当事者として毎日ぶつかっている不便なのです。 ちなみに、私が個人開発した決済導入支援SaaS『Apps』も、広告で伸びたプロダクトではありません。Stripeは固定費がかからない一方、小さな事業者には管理画面の言葉が難しく、決済ページを作る段階で手が止まりがちでした。その詰まりを人力の導入サポートで一件ずつほどき、夜中に問い合わせが来ても、起きていればすぐ返す。その対応が口コミになって広がり、Appsは4年で流通総額100億円を突破しました。 みてねと同じで、最初の利用者に作り手が直接向き合った手間こそが、いちばん効く集客になったのです。 さて、ここから私たち個人開発者が何を学べるのか整理します。 ❶自分が当事者の不便から始める →笠原氏は親になって初めて、写真共有の不便を毎日の痛みとして知りました。ネタ探しは市場調査より先に、自分や家族が毎週イラッとしている作業を書き出すところから始めるのが近道です。 ❷最初のユーザーは自分の手で集める →3000万人のアプリも、入口は公園のチラシでした。チラシ配りは非効率に見えますが、誰が本当に困っているのかを肌で知れる一番安い調査でもあります。最初の10人は広告ではなく、知り合いへのDMや対面のお願いで集めるほうが早く、反応も濃く返ってきます。 ❸問い合わせ窓口は作り手が持つ →笠原氏は1年半ほど自らサポートを担当しました。ユーザーの困りごとを直接聞く窓口は、そのまま改善のネタ帳になります。小さいうちは、作り手が自分で答えること自体が、大手に真似できない強みです。 というわけで、笠原健治氏の2013年の事例を参考に、まずは自分や家族が今日ぶつかった不便を一つ選び、それを解く道具を作って、最初の利用者に自分の手で届けてみてください。 結論。 事業の種は市場レポートではなく、自分の生活の中にあります。そして最初の利用者は、仕組みより先に作り手の手間で集めるものです。その手間を惜しむかどうかが、伸びるサービスと止まるサービスの分かれ目です。 やるしかねえ。Don’t Work!
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気づいてるか? 人材会社SThreeの日本調査で、AIで人を減らした職場の7割近くが、その決定を一部撤回していた。このニュースの核心は「AIが使えなかった」ではなくて、 『AIで作業が速くなるほど、答え合わせできる人が必要になる』ということだ。その理由と新たなビジネスチャンスについて解説する。SThreeは技術職の人材紹介を手がける英国の会社で、10月15日、日本で働く技術職794人に聞いた調査結果を出した。 ここでいうAIは、文章や資料、プログラムを自動で作る道具のこと。AIの導入を機に人員削減があったと答えたのは全体の13.2%にあたる105人で、そのうち67.6%が「少なくとも一部が撤回された」と答えた。これから撤回予定の18.1%を足すと85.7%になる。撤回には、辞めた人の再雇用や、なくした持ち場の復活も含まれることがある。 「やっぱりAIは役に立たないのか」と不安になる人もいるだろう。だが、AIを使う592人のうち64.9%は、2年前より仕事がはかどるようになったと答えている。 一方で、回答者全体の39.4%が、AIが作ったものの確認にかける時間が増えたと答え、35.4%が手直しの時間が増えたと答えた。速くはなったのに、確かめる手間は増えている。この食い違いこそが核心だ。 スーパーのセルフレジを思い出してほしい。会計は客が自分でやるが、お酒の年齢確認や読み取りのエラーが出るたびに店員が呼ばれる。台数を増やすほど、そばで対応する店員は欠かせなくなる。AIを入れた職場の仕事も、これと同じだ。 AIは文章も資料も、一瞬で大量に書き上げる。ただ、もっともらしい文章で答えが返ってくるので、検索のように出どころをたどって確かめるのが難しい。間違いが混ざっていても、見た目だけではわからない。 見分けられるのは、その仕事の中身に詳しい人だ。出てくる量が増えるほど、見分ける作業も同じように増えていく。 それなのに、見分けられる人から先に減らすとどうなるか。間違いが素通りし、手直しが積み上がり、結局その人を呼び戻すことになる。同じ調査では、技術系の人材の補充が難しいと答えた人も46.6%いる。一度手放した人の穴は、そう簡単には埋まらない。これは推測だが、撤回の多くはこの順番で起きたのではないか。 「なら最初から人を減らさなければいい」と思った人は鋭い。だが、守るべきは人数ではなく、答え合わせに必要な仕事の知識のほうだ。知識が残っていれば、少ない人数でもAIを使いこなせる。 ちなみに、非エンジニアの私が個人開発した決済導入支援SaaS『Apps』は、画面だけで終わらせなかった。Stripeは当時もあったが、小さな事業者には管理画面の言葉も決済ページ作りも難しかった。だから、わかりやすい画面に人の手による導入サポートを付けた。その結果、Appsは4年で流通総額100億円を突破した。同じ構造(道具を渡すだけでなく、人の手で仕上げること)が、今回のニュースの中心にある。 では、どう張るか。新しいビジネスチャンスは3つある。 「AI答え合わせ」ビジネス。AIで問い合わせ窓口を作った中小企業に、誤答がないかの点検を月額で売る。仏パリで2人が創業したGiskardは、AIの誤答や危ない返答を洗い出す無料ソフト『Giskard OSS』を公開し、人気の目安のGitHubスターは約5,900だ。 「手順の書き出し」ビジネス。ベテランが辞める前に、パソコン作業の手順を書き出して残す仕事を、地元の会社から請け負う。米サンフランシスコで2019年に2人が始めたScribeは、画面操作を記録すると手順書が自動でできる『Scribe』を広げ、利用者は500万人を超える。 「出戻り採用」ビジネス。AIで人を減らしすぎた会社に、辞めた人と連絡を保ち、必要なときに呼び戻す仕組みを売る。2017年に東京で生まれたハッカズークは、退職者とのつながりを管理する『オフィシャル・アルムナイ』を運営し、退職者のデータを約4万人分持つ。 結論。 AIが速くなるほど、出てきたものを見分ける人と、その人が持つ仕事の知識の値打ちは上がっていく。減らした人を呼び戻す会社が出てきた今、狙い目はその手前にありそうだ。人を減らす側ではなく、答え合わせを引き受ける側に立った者が残るだろう。つまり、AIが作ったものの確認と手直しを小さく請け負う商売が、これからの有望テーマになっていく。 やるしかねえ。Don’t Work!
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個人開発者が起業で一発当てたいなら『VASTの2023年に学べ』という話を解説します。 中国の3D生成AI「Tripo」を作るVASTが、今年9月に30億元、約4.5億ドルの資金を集めました。出資したのはパーフェクトワールドや37 Interactive Entertainmentといったゲーム会社です。6月には評価額10億ドル超のユニコーンになり、3月の調達から数えると今年3回目です。Tripoは文字や写真を入れると数十秒で3Dモデルが出てくる道具で、利用者は3年で2,000万人、その大半が中国の外にいます。 そんなVASTですが、実は創業者がもともと会話AIの会社を作った人だというのはご存知でしょうか? 創業者のサイモン・ソンさんは、大学で国際関係を学びながら戦略ゲーム「シヴィライゼーション」に明け暮れ、卒業後はAI企業センスタイムでゲームとアニメの事業を見ていました。その後、会話AIや動画生成で知られるMiniMaxを共同で立ち上げます。2023年、ソンさんはMiniMaxを離れて3DだけのVASTを作りました。きっかけは前年にGoogleが出した「文字から3Dを作る」研究です。当時、3Dモデルは職人が何日もかけて作る物で、ゲームでも商品の試作でも、ここがいつも詰まる場所でした。会話AIが一番にぎやかだった年に、ソンさんはあえて地味な3Dに絞り込みます。本人の言葉を借りれば「誰もが3Dをゼロコスト、ゼロ障壁で作れるようにする」ためです。 この戦略が見事に当たります。去年の夏には企業の顧客が4万社に届き、テンセントやソニー、ポップマートが名を連ねました。今年は3月、6月、9月と立て続けに資金が入り、9月の出資者には作った3Dを使う側のゲーム会社が並びました。 ここからが本題です。VASTが証明したのは、専門家にしか触れない道具を素人が数十秒で使える形にすると、作る側ではなく使う側の業界が金を出してでも欲しがる、という順番です。賢いAIの競争に勝ったのではありません。一番面倒な工程を一番簡単にした会社に、仕入れたい側が集まったのです。 ちなみに、私が個人開発した決済導入支援SaaS『Apps』も、入口は同じ順番でした。知り合いの税理士に「クレカ決済を入れたい」と相談されたとき、固定費のかからないStripeはすでにありました。ただ、非エンジニアには管理画面の言葉が難しく、決済ページを作るところまで辿り着けない人がほとんどでした。そこで私は、リテラシーが低くてもStripeを使える管理画面と、人力の決済導入サポートを作りました。料金は月額ではなく決済金額の2%だけ。売上がゼロなら1円も入りません。その結果、Appsは4年で流通総額100億円を突破しました。VASTと同じで、道具そのものを発明したのではなく、専門家の道具を素人が使える形に直しただけなのです。 さて、ここから私たち個人開発者が何を学べるのか整理します。 ❶にぎやかな本流ではなく、職人しか触れない工程を狙う →会話AIの年に3Dを選んだように、みんなが並ぶ列の隣にある「面倒で誰もやりたがらない作業」を一つ選び、素人が数十秒で終わる形にしてください。 ❷無料で公開させ、売る人からだけ取る →Tripoの無料枠は作った物が公開され、商用は有料です。無料の作品が宣伝と見本になり、商売にする人だけが払う。この順番は一人でも組めます。 ❸最初の客は、作る人ではなく使う側 →ゲーム会社が出資したのは、3Dを仕入れたいからです。あなたの道具の出力を仕入れたい会社を、最初の客に据えてください。 というわけで、VASTの事例を参考に、自分の商圏で「職人にしか触れない工程」を一つ探し、それを素人の部品に変える道具を作ってみてください。 結論。 VASTが示しているのは、AIの賢さの勝負ではない。専門家の道具を素人の部品に変えた者が、使う側から金を集める。次の勝者は、一番賢いAIを持つ会社ではなく、一番地味な工程を一番簡単にした会社になる。 やるしかねえ。Don’t Work!
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気づいてるか? 国内サイトへのAIエージェントの攻撃が8時間弱続いたニュースが話題だが、このニュースの核心は「AIが怖い」ではなくて、 『攻撃は人の手を離れて8時間でも続くようになったが、守り方は昔のまま。差がつくのは、当たり前の手入れを続けているかどうか』ということだ。その理由と新たなビジネスチャンスについて解説する。10月14日、ビットフォレストが、日本企業のサイトへのAIエージェントを使った攻撃を報告した。同社は、Webサイトの手前で怪しい通信を止めるサービスを売る国内の会社だ。 AIエージェントとは、目標を渡すと、結果を見て次の手順を選びながら作業を進めるAIの使い方だ。毎日使う対話型のAIは、1回聞けば1回答えて終わる。エージェントは、試す、結果を読む、次を試すを何時間でも繰り返せる。 観測期間は10日夜から14日までで、少なくとも3つの発信元から攻撃が届いた。最も長いものは8時間弱続き、サーバーの返事を読みながら10段階で手口を替えた。毎秒約35件のペースで約1万件を調べ上げ、すでに知られた弱点も突いた。ログインの総当たり(パスワードを片っ端から試すこと)は約250回にのぼる。別の発信元は、問い合わせフォームへの連投を含む5段階の攻撃だった。 「AI相手なら、守る側もAIで固めないと負ける」と思った人は鋭い。だが、ビットフォレスト自身が、相手がAIでも対策は大きく変わらないと書いている。挙げた対策は、弱点を直しておくことと、決まった攻撃の型との照合だけに頼らない防御を入れることだ。どちらも、昔から言われてきた守り方だ。 変わったのは手口の新しさではなく、攻める側の手間のほうだ。人が手で攻めていた頃、1つのサイトに8時間張りつくのは割に合わなかったはずだ。だから攻め手は、入りやすそうな相手を選び、だめならすぐ次へ移るしかなかった。 空き巣という泥棒は、鍵の開いた家を探して一軒ずつ戸を確かめて回る。歩く手間がかかるから、一晩に回れる家には限りがある。その手間が消えれば、町中の家が毎晩確かめられることになる。それでも、きちんと鍵をかけた家には入れない。人の手を離れた今回の攻撃も、これと同じだ。 返事を読んで手口を替える攻撃が、人の手間なしで8時間続く。これは推測だが、そうなれば攻める相手を選ぶ理由が薄れ、小さな会社のサイトも同じしつこさで試されるようになる。使い回しのパスワードや、更新を止めたWordPress(ホームページ作りの定番ソフト)の追加機能は、いずれ見つかると考えたい。逆に、手入れが続いているサイトは、何時間試されても破られにくい。 差を生むのは技術の新しさではなく、手入れの有無だ。守り方はもう分かっていて、足りないのは、それを毎月続ける人手のほうだ。 ちなみに、非エンジニアの私が個人開発した決済導入支援SaaS『Apps』は、固定費のかからない決済サービスのStripeを、使いやすくすることだけに絞った。道具は既にあり、足りないのは迷わない管理画面と、横で導入を手伝う人だと見たからだ。その結果、Appsは4年で流通総額100億円を突破した。同じ構造(道具はあるのに、小さな事業者が使える形で届いていないこと)が、今回のニュースの中心にある。 では、どう張るか。新しいビジネスチャンスは3つある。 「ログイン見張り」ビジネス。工務店や士業のWordPressに、ログイン失敗の回数制限を入れ、月額で見回る。日本のジェイピー・セキュアの『SiteGuard WP Plugin』は、失敗が続いた相手を一時的に締め出す無料の追加機能で、使われているサイトは50万を超える。 「更新代行」ビジネス。小さな店から、サイトの追加機能の更新と点検を月1回まとめて請け負う。エストニアのPatchstack社は『Patchstack』で、弱点の公表と同時に攻撃を止めるルールを配る。2025年にWordPress周りで見つかった新しい弱点は1万1334件だ。 「夜間当番」ビジネス。夜に相談先のない地域の会社へ、サイトの見張りと、異常が出たときの連絡を月額で売る。米国のDefiant社の『Wordfence』は、WordPress用の守りの追加機能に人の対応を付けて売り、最上位プランは24時間365日、1時間以内に応じる。 結論。 攻める側が人の手を離れるほど、守る側では、当たり前を続ける人の手に価値が移っていく。この流れで勝つのは、新しい守りの技術を作る人より、すでにある守り方を小さな事業者の手元まで運び、毎月やり続ける人だろう。つまり、地元の小さなサイトの手入れを丸ごと引き受ける地味な仕事が、これからの有望テーマとして育っていく。 やるしかねえ。Don’t Work!
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個人開発者が起業で一発当てたいなら『日本交通の2011年に学べ』という話を解説します。 タクシー配車アプリ『GO』を運営するGOが10月15日、6〜8月期の決算を発表しました。売上高は122億円、営業利益は30億円です。タクシーを呼ぶとき、電話ではなくまずGOを開く。そんな人も多いのではないでしょうか。 そんなGOですが、実は出発点が「ピザ屋のアプリ」だったことはご存知でしょうか? 2011年1月、老舗タクシー会社の日本交通は、スマホだけでタクシーを呼べる「日本交通タクシー配車」を出しました。会社自身が「日本初」とうたったアプリです。手本にしたのは、住所ではなく地図上で印をつけた場所へ商品を届けるピザ店のアプリだったと、川鍋一朗氏は後に語っています。電話で住所を説明するという、タクシーを呼ぶときの面倒を、ピザの仕組みで解いたわけです。 同じ2011年の12月、日本交通はこの仕組みを自社だけのものにせず、「全国タクシー配車」として他社にも開きました。発表時点で13グループ、8,595台が提携しています。ライバルの車も、同じアプリで呼べるようにしたのです。 アプリ完成の記念に訪れたシリコンバレーでUberを使ったとき、川鍋氏は「ゾーッとした」そうです。祖父から継いだタクシーがなくなるかもしれないと感じ、「IT企業の社長になる」と決めました。2015年には日本交通の社長を譲ってアプリに専念します。その後、DeNA系のMOVと一緒になって生まれたのが、いまのGOです。 ここからが本題です。いまの売上122億円の出発点は、2011年に自分たちの現場の不便を道具にし、それを業界全体に配ったことにあります。自分の困りごとを解いた道具は、同業者に配った瞬間に事業になるのです。 ちなみに、私が個人開発した決済導入支援SaaS『Apps』も、最初は一人のために作った道具でした。知り合いの税理士から「クレカ決済を導入したい」と相談されたのがきっかけです。固定費のかからないStripeはすでにありましたが、非エンジニアには管理画面の言葉が難しく、決済ページを作るのもひと苦労でした。 その友人のために無償で作ったものが周りに感謝され、それを商品として磨き直したのがAppsです。日本交通と同じで、目の前の一人の不便を解いた道具を、同じ悩みを抱える人たちへ開いたから、事業になったのです。 さて、ここから私たち個人開発者が何を学べるのか整理します。 ❶手本は業界の外から借りる →日本交通が参考にしたのは、同業のタクシー会社ではなくピザ店のアプリでした。自分の業界で当たり前になっている面倒は、別の業界ではもう解かれていることがあります。 ❷自分の現場の不便から作る →電話で住所を伝える面倒は、タクシー会社自身が毎日見ていたものです。自分が毎日ぶつかる不便なら、需要を想像で語らずに済みます。 ❸作った道具は同業者にも開く →自社専用で終わらせず他社も使える形にしたことで、一社のアプリが業界の入口になりました。自分用の道具も、同じ悩みを持つ人に配れば事業になります。 というわけで、日本交通の事例を参考に、まずは自分が毎日ぶつかっている面倒を一つ選び、ほかの業界ではどう解いているかを探して、小さな道具にしてみてください。自分の手元で動いたら、同じ悩みを持つ人に配ってみてください。 結論。 自分の現場の不便は、いちばん確かな市場調査です。そこで作った道具を自分だけで使うか、同業者に配るか。事業になるかどうかは、その判断で決まります。 やるしかねえ。Don’t Work!
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炎上を、誰が悪いかの話で終わらせると、同じことがまた起きる。今回の永続飯は、クリエイターと消費者の溝をAIが広げていく仕組みのほうを書いた。
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個人開発者が起業で一発当てたいなら『カーブスの2005年に学べ』という話を解説します。 女性専用フィットネスのカーブスを運営するカーブスホールディングスが、2026年8月期の決算を発表しました。売上高は前期比15.5%増の433億8700万円、営業利益は同22.3%増の77億5500万円です。経常利益と純利益も含め、すべて過去最高を更新しました。 会員数は91.9万人で、前期末から4.1万人増えています。店舗数は2112店舗です。2030年8月期には2600店舗・会員120万人を目指すという中期ビジョンも出しています。コロナ禍の2020年4月には会員が54万人まで減った時期もありました。そこからの完全復活と言っていいでしょう。 そんなカーブスですが、実は日本での始まりは、一人のビジネスパーソンが米国で出会った小さな健康体操教室だったことはご存知でしょうか? コンサルティング会社出身の増本岳氏は、2004年に米国でカーブスに出会いました。翌2005年2月にカーブスジャパンを設立し、ライセンスを得て国内での展開を始めます。 その中身はかなり思い切ったものでした。会員は女性だけで、中心は50代以上です。運動は1回たった30分。多くのジムは「誰でも来られて、何でもそろう場所」を目指します。カーブスはその逆で、客を絞り、時間を短くしたのです。 ここからが本題です。 20年前に決めた「女性だけ・30分」が、いま過去最高益と会員91.9万人という結果になっています。ここからは私の推測です。当時は「ジムは若くて体を鍛えたい人の場所」という空気があり、行きづらさを感じていた人が大勢いたのではないでしょうか。対象を狭めたことで、その人たちが「ここは自分のための場所だ」と思える店になったのだと思います。学びの核はこれです。客を絞るほど、その客にとっての入りやすさは上がります。 ちなみに、私が個人開発した決済導入支援SaaS『Apps』も、既存の道具からこぼれ落ちた人に向けて作りました。当時すでに、固定費のかからないStripeという優れた決済サービスがありました。ただ、非エンジニアや小さな事業者には管理画面の言葉が難しく、決済ページを作るのもひと苦労だったのです。 そこでAppsでは、リテラシーに自信がなくてもStripeを扱える管理画面と、人の手による決済導入サポートをセットにしました。夜中に問い合わせが来ても、起きていればすぐ返します。その対応が口コミになり、少しずつ広がっていきました。カーブスと同じで、「自分には難しい」と感じていた人に合わせて作り込むほど、選ばれる理由がはっきりするのです。 さて、ここから私たち個人開発者が何を学べるのか整理します。 ❶「誰でも」を捨てて、取りこぼされている人を選ぶ →既存の商品が想定していない人は、どの市場にもいます。最初の客は「みんな」ではなく、その人たちに決めましょう。 ❷機能を足すより、ハードルを削る →カーブスは1回を30分にしました。続かない理由を一つずつ消すほうが、機能を一つ増やすより効きます。 ❸絞った客に、とことん付き合う →狭い客層は、満足すればそのまま口コミの起点になります。小さく始める人ほど、対応の速さと丁寧さで勝てます。 というわけで、カーブスの事例を参考に、自分のプロダクトの「対象外」になっている人を一度書き出してみてください。そこに、まだ誰も本気で向き合っていない市場が隠れているかもしれません。 結論。 小さく始めるなら、客は絞ったほうが強いです。「誰でも使える」は、裏を返せば「誰のためでもない」になりがちです。誰に「自分のための場所だ」と思ってもらうかを先に決めた人が勝ちます。 やるしかねえ。Don’t Work!
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今日は良品計画の本決算。見通しどおりなら3年連続の最高益だが、書いたのは数字より前の1980年の話のほう。
個人開発者が起業で一発当てたいなら『無印良品の1980年に学べ』という話を解説します。 無印良品を展開する良品計画は、10月14日に2026年8月期の本決算発表を予定しています。7月時点の見通しでは、純利益が前期比32%増の670億円です。営業収益は16%増の9,070億円、営業利益も33%増の980億円を見込んでいます。この通りになれば3年連続の最高益です。東アジアでは化粧品の販売が想定を上回り、国内では衣料品が堅調でした。中国大陸の既存店売上高は、5月、6月と前年同月比20%超の伸びです。いまや日本を代表する小売ブランドのひとつと言っていいでしょう。 そんな無印良品ですが、実はその原点が「割れたしいたけ」だったことはご存知でしょうか? 無印良品が生まれたのは1980年です。西友のプライベートブランドとして、わずか40品目でのスタートでした。掲げたコピーは「わけあって、安い。」。その象徴が「割れしいたけ」です。製造の途中で欠けたり割れたりしたしいたけは、味が変わらないのに正規の流通から外されるのが業界の慣行でした。無印良品はそこに異を唱えました。形が悪いだけの品を、安い理由を正直に明かしたうえで商品にしたのです。見た目より中身で選ぶという買い方は、当時の消費者にもかなり新鮮だったのではないでしょうか。その後、1989年に良品計画が設立され、ブランドは大きく育っていきました。 ここからが本題です。670億円の純利益を見込む会社の原点は、新しい技術でも大きな資本でもありませんでした。業界が「売り物にならない」と捨てていたものです。割れしいたけは、品質を落とさずに安くできる理由そのものでした。理由がはっきりしているから、安くても安っぽく見えません。その理由を隠さずに見せたことが、のちのブランドの考え方につながったと私は見ています。40品目の小さな始まりと、いまの最高益は地続きです。つまり、メシのタネは誰かが当たり前に捨てているものの中にあります。 ちなみに、私が個人開発した決済導入支援SaaS『Apps』も、最初は売り物ですらありませんでした。始まりは、知り合いの税理士から受けた「クレカ決済を導入したい」という相談です。商品にするつもりはなく、目の前のその人が困らないように手を動かしただけでした。 ところが、その人のために無償で作った仕組みが、周りの人たちから思いのほか感謝されたんです。自分では「頼まれたから作っただけ」と片付けていたものを、お金を払ってでも欲しい人がいました。そこで商品として磨き直したのが、いまのAppsです。無印良品と同じで、作り手が売り物だと思っていなかったものの中に、買い手が待っていた価値が眠っていたのです。 さて、ここから私たち個人開発者が何を学べるのか整理します。 ❶捨てているものを棚卸しする →ボツにした企画、使い回しているスクリプト、知り合いに頼まれて作った小さな仕組み。自分が「価値ゼロ」と判断したものを、一度すべて書き出してみてください。人に見せる前に捨てたものほど、他人には新鮮に映ることがあります。 ❷「わけ」を隠さず値札に変える →機能が少ない、見た目が素朴、サポートは平日だけ。こうした弱点も理由を添えて出せば、「だから安い」「だから迷わない」という売りに変わります。 ❸40品目から始める →無印良品も最初は40品目でした。最初から全部そろえる必要はありません。1人の困りごとに効くものを1つ出して、反応を見ながら増やせば十分です。 というわけで、無印良品の事例を参考に、新しいアイデアを探す前に、自分のフォルダや過去の頼まれごとの中に眠っている「割れしいたけ」を探してみてください。 結論。 アイデアを探すより、自分が捨てたものを見直すほうが早い。捨てる理由がはっきりしているものほど、安く売れる理由もはっきりしています。勝ち筋は、業界の当たり前が見落としている側にあります。 やるしかねえ。Don’t Work!
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個人開発者が起業で一発当てたいなら『シャープの1923年に学べ』という話を解説します。 シャープが開発中の排水レス循環型洗濯システム『トリプルフリーランドリー』が、「CEATEC AWARD 2026」で優秀賞を受賞しました。洗濯に使った水を独自のフィルターでろ過・浄化し、次の洗濯にまた使う仕組みです。小型で運びやすく、給排水設備のない場所にも置けるため、災害時の避難所などでの利用を想定しています。10月13日から幕張メッセで開かれるCEATECにも出展されていて、早期の実用化を目指して開発が進められています。家電で磨いてきた技術を、防災という新しい場所に持ち込んだ形です。 そんなシャープですが、実は創業者が震災で工場も家族も失い、看板事業を手放してゼロから再出発した会社だということはご存知でしょうか? 創業者の早川徳次は、1912年に東京で金具の下請け加工から事業を始め、1915年に金属製の繰出鉛筆を発明しました。これが「シャープペンシル」として売れ、のちの社名の由来にもなります。ところが1923年9月1日の関東大震災で工場は焼け、2人の子どもを亡くしました。手元に残ったのは返済しきれない借金でした。早川はその返済のために、シャープペンシルの特許と事業を日本文具製造に譲ります。自分を有名にした看板商品を、自分の手で手放したのです。 それでも早川は止まりませんでした。1924年に大阪で早川金属工業研究所を開き、目をつけたのがラジオです。日本でラジオ放送が始まろうとしていた時期でした。そして1925年、国産第1号とされる鉱石ラジオ受信機の開発に成功します。大阪で仮放送が始まった日には、このラジオで放送がはっきり聞こえたと伝えられています。 ここからが本題です。早川が震災で失ったのは、工場と家族と看板商品でした。ただ、金属を精密に加工する腕までは失っていません。その腕を、放送開始という「これから始まる波」に向けたことで、シャープは家電メーカーへの道を歩き始めます。洗濯の技術を避難所に持ち込む今回のニュースも、私には同じ発想の延長に見えます。事業は手放しても、手に残った技術は次の波に持ち込めるのです。 ちなみに、私が個人開発した決済導入支援SaaS『Apps』も、自分の稼ぎを利用者の売上の伸びに乗せる形にしています。料金は月額のサブスクではなく、利用者の決済金額の2%だけです。コンセプトは『ジェネリックSaaS』で、利用者の売上がゼロなら私には1円も入りません。 逆に言えば、利用者の商売が育つほどAppsも育ちます。そうして4年で流通総額100億円を突破しました。シャープと同じで、自分の商品を、これから大きくなる相手の波に乗せたのです。 さて、ここから私たち個人開発者が何を学べるのか整理します。 ❶看板を捨てても、腕は残る →プロダクトが失敗しても、作る途中で身についた技術は残ります。次に作るものは、失ったものではなく手元に残ったものから考えましょう。 ❷これから始まる波に先回りする →早川は放送が始まる時期に合わせてラジオを作りました。すでに大きい市場より、これから人が集まる場所に自分の腕を置いておきましょう。 ❸自分の売上を相手の成長につなげる →ラジオは放送が広がるほど必要とされる道具です。利用者が伸びるほど自分も伸びる値付けにしておけば、波が大きくなるほど追い風になります。 というわけで、シャープの事例を参考に、いま手元に残っている技術を棚卸しして、これから始まりそうな波にひとつ当ててみてください。 結論。 失ったものを数えても、次の事業は始まりません。手に残った腕と、始まったばかりの波。この2つがそろえば、ゼロからでも再出発できます。 やるしかねえ。Don’t Work!
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震災で看板のシャープペンシル事業を手放したシャープとは逆に、自分から看板を下ろしに行った会社の話はゲオの回で書いた。こちらは40年目に、創業の名前を社名から外している。
個人開発者が起業で一発当てたいなら『ゲオの2008年に学べ』という話を解説します。 ゲオホールディングスは10月1日、社名を「セカンドリテイリング」に変えます。発表は2025年7月でした。1986年に愛知県豊田市のビデオレンタル店から始まった会社が、創業40周年の節目に社名から「ゲオ」を外すことになります。新社名は、中古を意味する英語「second-hand」にちなんだものです。リユースで世界のトップランナーを目指すという決意が込められています。 さらに9月27日には、日経がゲオHDの新業態「ゲオデジタルベース」を報じました。中古デジタル品の買い取り・販売に加え、スマホやゲーム機の修理やレンタルまで扱う店です。2000年代初頭の「ネオレトロ」な商品が30〜40代に支持され、ゲームソフトの売上は通常のゲオの5倍に達しています。 そんなゲオですが、実はレンタル屋のイメージが強かった2008年に、古着や雑貨のリユース店を傘下に入れていたことはご存知でしょうか? 当時のセカンドストリートは、フォー・ユーという別会社が運営していました。ゲオは資本業務提携を経て、2008年にTOBで株式の過半を取得し、連結子会社にしています。2010年には完全子会社になりました。 本業とは畑違いに見える古着にお金を入れた決断です。当時はまだレンタルが主力だったと考えられます。 セカストの経営に関わってきた一戸綱樹氏は、ゲオと一緒になって資金力が一気に上がり、店舗数を大きく伸ばせたと振り返っています。 2011年に33歳で社長に就いた遠藤結蔵氏は、売買やレンタルができる基幹システムを内製で育ててきたと説明しています。そのうえで「その仕組みにゲームやDVD、CD、コミックなどを載せたのがGEOで、服や雑貨を載せたのがセカンドストリート」と語っています。 ここからが本題です。 今回の社名変更も、デジタル中古の新業態も、突然の方向転換ではありません。買い取り、値付けし、売るという仕組みに、別の品種を載せ替え続けてきた結果です。ゲームから古着へ、古着からスマホやレトロゲームへと広げてきました。伸びる会社は新しい事業をゼロから作りません。いま回っている仕組みに載せる商品を替えているのです。 ちなみに、私が個人開発した決済導入支援SaaS『Apps』も、決済の仕組みそのものを発明したわけではありません。土台にしたのは、固定費のかからないStripeです。ただ、非エンジニアや小さな事業者には管理画面の言葉が難しく、決済ページを作るところでつまずきがちでした。そこで、リテラシーが低くても扱える管理画面と、人力の導入サポートをその上に載せました。 最初は友人のために無償で作った道具でした。周りから感謝されたので、同じものを商品として磨き直しています。ゲオと同じで、すでに動いている仕組みに何を載せ、誰に届けるかを変えれば、事業は立ち上がるのです。 さて、ここから私たち個人開発者が何を学べるのか整理します。 ❶新規事業は「載せ替え」で考える →ゼロから作る前に、手元のコード、顧客、運用の型に別の商品を載せられないかを考える。作り直さない分、速く試せます。 ❷本業が稼いでいるうちに次へ張る →受託や既存プロダクトの収入があるうちに、その現金と時間の一部を次の柱に回す。落ち目になってからでは、張る余力が残りません。 ❸伸びた方に看板を架け替える →ゲオは40年目に、創業の名前より伸びた事業の名前を選びました。小さく始めた副業が本業を追い越したら、屋号やプロフィールもそちらに寄せていい。 というわけで、ゲオの事例を参考に、いま自分が回している仕組みを書き出し、そこに別の商品を1つ載せてみてください。 結論。 勝てる事業は発明より流用から生まれます。稼げているうちに、同じ仕組みで別の品種を試した人が、次の柱を手にします。 やるしかねえ。Don't Work!
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