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Sugarfields/音楽家・プロデューサー。日本初、宅録のみでメジャーデビュー。録音機材・プラグイン「AMATERAS」開発。カフェオレーベル代表。東京・長岡でスタジオ運営。常識よりも、本質を。

東京都
Joined November 2009
Sugarfields「言葉はメロディ」 ニューアルバム『何者にもならず』収録曲です。 日本語版『何者にもならず』と、 英語版 “Without Becoming” は本日同時発売。 フルMVとアルバムの配信リンクはこちら。 world.thesugarfields.chatgpt… #Sugarfields #言葉はメロディ #何者にもならず #WithoutBecoming
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『VIVANT』を観て、 「中国を悪役として描くなんてけしからん」 という批判が出ているらしい。 なんというか。 ドラマを観るのに、ずいぶん忙しい人たちである。 誰が裏切るのか。 この人は何を隠しているのか。 次はどうなるのか。 私はそのへんで手いっぱいなのだが、 国際関係の点検までしている。 * もちろん、国や民族の描き方について、 批評することはあっていい。 あまりにも雑だったり、 人間が一人も描かれていなかったりすれば、 私だってつまらないと思う。 観ていて、どうしても引っかかる。 そういう人がいるのもわかる。 嫌だと感じたことまで、 否定するつもりはない。 ただ、 「この国を悪役にしたから、けしからん」 という話なら、 中国の抗日映画にも、 いくらでも文句が言えてしまう。 悪役の国籍によって、
表現の自由が伸びたり縮んだりする。 ずいぶん便利な自由である。 * 中国の立場を代弁するメディアが、 中国の描かれ方に文句を言う。 それは、まあ、仕事なのだろうと思う。 でも、日本で普段、 「表現を萎縮させるな」と言っている人まで、 同じ調子で怒っているのを見ると、 ちょっと待ってくれ、とは思う。 その基準で、 本当に映画やドラマを観続けられますか。 日本人を悪役にしてはいけない。 中国人もいけない。 アメリカ人も、ロシア人もいけない。 悪役を引き受けてくれる国がない。 宇宙人に頼むしかなくなるが、 宇宙人だって、 毎回侵略しに来たことにされて、 迷惑しているかもしれない。 * そもそも、 物語に登場する悪い人は、 その国の全国民の代表なのだろうか。 日本のサスペンスドラマでは、 毎週のように日本人が人を殺している。 だからといって、 日本人への偏見を助長するな、 とは、普通は言わない。 あの人が、あの事情で、 あんなことをしてしまった。 そこを観ている。 ところが国境を越えた途端、 一人の悪役が、 急に国民全員を背負わされる。 * 私が気になるのは、 中国を好きか嫌いかではない。 作品を観る前から、 褒める場所と怒る場所が決まっている、 その感じである。 味方が悪く描かれたら怒る。 敵が悪く描かれたら頷く。 それでは、どんな物語を観ても、 自分がすでに知っている話しか出てこない。 私は、もう少し驚きたい。 悪いと思っていた人にも事情があったり、 正しい顔をした人が、とんでもないことをしたり。 そういうものを観るために、 わざわざドラマを観ている。 せめてテレビの前くらい、 所属している陣営を休んでもいいのではないか。 続きを観たいのである。 声明文を読みたいわけではない。
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私は、育ちがいい。 こう書くと、 実家にグランドピアノと噴水がありそうだが、 そういう話ではない。 人を差別してはいけない。 国籍や宗教で決めつけてはいけない。 みんな仲良くしたほうがいい。 そういうことが、 子供の頃から、深く染みついている。 親や学校の教育は、 その点では悪くなかったんだろう。 * 地元でも、外国から来たのかなと思う人を 以前より見かける気がする。 会えば挨拶をする。 特に身構えることもない。 私の中の「みんな仲良く」は、 今日も正常に作動している。 ただ、最近は、 正常に作動しすぎているのではないか、 とも思う。 「仲良くすればいいじゃない」 それで、考えるのを終えてしまう。 感じはいい。 しかし、感じがいいまま、 何も考えていないことがある。 * 私が気持ちよく挨拶できることと、 地域に受け入れの準備があることは、 別の話だ。 言葉は通じるのか。 住む場所や働く環境はどうか。 学校や地域に無理はないか。 生活習慣の違いで困ったら、誰が間に入るのか。 玄関で「どうぞ」と言うのは簡単だ。 布団はあるのか。 朝ごはんは誰が作るのか。 そこを尋ねた人が、 歓迎する気のない人とは限らない。 泊まってもらうことを、 具体的に考えているのかもしれない。 * 先日、移民について、 かなりきつい言葉で心配を述べる投稿を見た。 その言い方に、 すべて賛成するわけではない。 でも、引っかかった。 自分が普段なら通り過ぎてしまう問題を、 少し立ち止まって考えた。 一方で、その発言を批判する、 差別や排除のない場所を願う投稿も見た。 言っていることは、わかる。 私も、そうあってほしい。 ただ、 そこから先の話を聞きたかった。 その授業は、 私もかなり真面目に受けてきた。 ノートも取った。 心にも刻んだ。 そろそろ次のページを開きたい。 * 穏やかな言葉を読んで、 うなずくことがある。 きつい言葉に引っかかって、 考え始めることもある。 少し、居心地が悪い。 でも、その居心地の悪さまで、 なかったことにはしたくない。 言い方への採点を済ませても、 そこで持ち出された問いは残る。 何を心配しているのか。 その心配は事実に合っているのか。 では、どうすればいいのか。 話は、そこから進められる。 * 「仲良く暮らしましょう」 私も、そう思う。 だから、そのために必要な、 あまりきれいではない話もしたい。 お金の話。 人数の話。 ルールの話。 できることと、できないことの話。 善意で迎えて、 あとは現場にお願いします、では、 迎えられた人だって困る。 優しい気持ちを、 実際に役に立つところまで持っていきたい。 * 私は、けっこう育ちがいい。 だからこそ、 自分の善意に安心しすぎないようにしたい。 同じように育ちのいい皆さんとも、 もう一歩先を考えたい。 「みんな仲良く」に、うなずいたあとで。 さて、布団は何組あるだろう。
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SNSで、村上龍について書いている人を、 ものすごくたくさん見かけた。 こんなにもいるのか。 どうもSNSというのは、 若い人たちの場所だという印象が抜けない。 しかし、私と同世代のおじさんたちが、 スマホを持って集合している場所でもあるらしい。 普段は別々の話をしているので、 同じ教室にいたことに気づかなかった。 * 私もご多分に漏れず、 十代の頃、村上龍を読みふけっていた。 村上春樹も、ほとんど読んでいる。 ただ、自分の血や骨になっている言葉となると、 村上龍のものが、ずいぶん多い気がする。 当時、私は「ヒューマンビーングス」というバンドをやっていた。 好きなことが何もやれない。 嫌なことなら平気でやれる。 お前らみんな奴隷、奴隷。 そんなことを大声で歌っていた。 完全に村上龍である。 バンド名では人類を名乗っているが、 思想的には、かなり一人の作家に所属していた。 * その後、ニーチェを読んだ。 難しい哲学者だと聞いていたのに、 妙に読みやすかった。 「あれ。これ、知ってるぞ」 村上龍を読んでいるうちに、 自分の中にできていた感覚が、 そこにも書かれているように思えた。 もちろん、二人が同じことを言っている、 とまで断言するつもりはない。 ただ、私には、 村上龍のいる場所へ、 ずっと昔に来ていた人がいるように感じられた。 哲学の本を開いたら、 行きつけの店の常連がいた感じである。 それで、ニーチェも好きになった。 * 今でも年に一度くらい、 すごく高級なホテルのバーへ、 一人で飲みに行きたくなる。 素敵な女性と、 一夜を共にしたくもなる。 こちらは、年に一度という意味ではない。 そういう世界への憧れが、 今も、ちゃんと残っている。 背伸びもある。 見栄もあるだろう。 若い頃に読んだ小説の読みすぎも、 かなりあると思う。 それでも、 自分が惹かれるものを前にして、 「そういうのは、もういいです」 と、わかった顔で引き下がりたくない。 本当にもうよくなったなら、それでいい。 でも、まだ欲しいのに、 欲しくないことにしてしまうのは、 どうも気に入らない。 * 十代の頃は、 世間に向かって「奴隷」と歌っていた。 今は、その歌詞が、 ときどき自分のほうへ帰ってくる。 好きなことは、 面倒だからと後回しにする。 嫌なことは、 仕方ないからと手際よく済ませる。 ずいぶん、できるようになった。 十代の私が見たら、 マイクを向けてきそうである。 * SNSに流れてくる、 村上龍についての言葉を読んでいると、 忘れていた自分に何度も出会う。 ああ、これも。 この感じも。 ここから来ていたのか。 もう誰に教わったかも忘れて、 自分の考えとして使っていたものの中に、 村上龍がいる。 影響というより、 今では支えと呼ぶほうがしっくりくる。 好きなものの前で、 妙に物分かりよくならずに済んでいるのは、 この人を読んだからかもしれない。 * それにしても、 同じようなおじさんが、 こんなにたくさんいたとは。 みんな、それなりの年齢になり、 それなりの用事を済ませながら、 まだ、あの頃の本を身体の中に持っている。 今度、ホテルのバーで、 一人で飲んでいる同世代の男を見かけたら、 少し気になってしまいそうだ。 あなたもですか。 声はかけない。 お互い、女性を待っている顔くらいは、 していたい。
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Sugarfields /『何様』【Official Music Video】 元動画は➤youtu.be/s8mXW-DKMD4
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いい音にしたいのに、なぜ歪ませる? |音楽家が作ったAMATERAS Transformer Saturator youtu.be/ij3_mPIAIbg きれいに録音するためにお金を使い、 そのあと、少し歪ませるために、またお金を使う。 音楽を作る人は、なぜこんなことをするのか。 声の艶。ベースの密度。音の手触り。 アナログ機材の「トランス」に惹かれ、 自分でプラグインまで作ってしまった音楽家の話です。 ▼AMATERAS Transformer Saturator|音の変化を聴く world.sugarfields.com/plugin… 文・Sugarfields 原朋信 AMATERAS JAPAN / Cafe au Label #音楽制作 #DTM #AMATERAS #サチュレーション
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Sugarfields /『バランス』【MV full】 #shorts 元動画は➤youtu.be/UmiWvakZ640
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新潟のテレビが、ちょっと楽しみになった。 NSTが、ReHacQの高橋弘樹さんと組むという。 おお。 そっちへ行くのか、NST。 * 私は今、政治や経済について何か語るなら、 まずReHacQくらい観ておこうよ、と思っている。 右とか左とか以前に、 政治や経済の中でうごめく「人」を見せる。 それが、高橋さんのうまさだと思う。 もちろん、観れば正解がわかるわけではない。 むしろ、 「この人、こんなこと考えてたのか」 「嫌いだったけど、この話はわかるな」 と、自分の頭の中が少し散らかる。 その散らかり方が、いい。 いつもの人が、いつもの調子で、 いつもの結論にたどり着く。 日曜の朝に「サンデーモーニング」を観ながら、 老いぼれてくのはごめんである。 私はもっと、知らない話が聞きたい。 即答できずに、少し黙る。 言いかけて、言い直す。 思わぬところで、笑ってしまう。 そういう間や呼吸ごと、 人の話を聞きたい。 血圧だけ上げて、 考えは据え置きというのも、もったいない。 * そんなReHacQと、 地元・新潟のテレビ局が組む。 これが、うれしい。 新潟には、米も酒も雪もある。 そのへんは、もう全国に伝わっていると思う。 そろそろ、 ここで何を考えている人がいるのかも、 もっと伝わっていい。 工場のおじさんが、 とんでもなく面白い経済の話をするかもしれない。 商店街の一軒から、 日本の未来が見えるかもしれない。 私だって長岡で、 音楽を作ったり、音響機材を作ったりしている。 米は作っていない。 * 地元のテレビ局が、 新しい面白さに手を伸ばす。 それだけで、 住んでいる場所の見え方まで、 少し変わる気がする。 「新潟も、なかなか面白いでしょう」 と言える日を待つより、 自分が先に面白がっていたい。 とりあえず、チャンネル登録した地元の未来。 1本目から高橋さんの才能が溢れている。 これは、なかなかいい。 ReHacQ新潟チャンネル: youtube.com/@rehacq-niigata?…
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Sugarfields /『バランス』【MV full】 #shorts 元動画は➤youtu.be/UmiWvakZ640
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「高市やめろ!」 と叫んでいる音楽関係者を、また見かけた。 言いたいことがあるのはわかる。 政治に腹が立つことくらい、私にもある。 でも、投稿を読み終えても、 この人がどんな社会にしたいのかは、 わからなかった。 辞めたあと、誰に、何をしてほしいのか。 何が変われば、自分たちの平和を守れると思っているのか。 そこを、もう少し聞いてみたい。 * もちろん、批判するのに、 次の総理大臣まで用意する義務はない。 料理が焦げていたら、 自分で作り直せなくても「焦げています」と言っていい。 それに対して、 「では、あなたが厨房に立ってください」 と返す店は、だいぶ面倒くさい。 ただ、何度も 「店長やめろ!」という話しか聞けないと、 この人は何を食べたいのだろう、とは思う。 * 反対する言葉は、強い。 短く言える。 仲間も集まりやすい。 「そうだ、そうだ」と声が重なると、 自分たちが世の中の中心にいるような気持ちにもなるのだろう。 でも、同じものが嫌いな人たちが、 同じ未来を望んでいるとは限らない。 いざ、 「では、どうしましょう」となると、 さっきまでの大合唱が、 急に小さくなることもある。 反対しているあいだは見えなかった違いが、 そこで見えてくる。 私は、むしろその話を聞きたい。 * 音楽なら、 「あいつの曲は駄目だ」と言ったあとに、 自分の曲を聴かせることができる。 すると、わかる。 ああ、この人は、 こういう音を美しいと思っているのか。 好きになるかどうかは別として、 その人の大切にしているものに触れられる。 政治の話でも、 そういう瞬間が、もう少しあってほしい。 誰が嫌いかだけでなく、 何を大切にしたいのか。 * 同じ価値観で固まった狭い界隈の中で、 安心して「やめろ!」と声を上げる。 それが、 「俺たちは今も、あの頃のままカッコいい」 と仲間同士で確かめ合うための 合言葉のように聞こえてしまうことがある。 若い頃、ロックが好きで、 偉そうなだけの大人をバカにしていた人が、 いつしか、その大人によく似てくる。 自分では、 今も反抗しているつもりなのに。 誰を引きずり下ろしたいかの先に、 どんな暮らしのできる社会を望んでいるのか。 それを語れば、 今度は自分の考えも批判される。 「それは無理だ」 「そのやり方では困る人がいる」 そう言われる場所に、 自分も立つことになる。 その覚悟があるなら、 ようやく話が進みそうな気がする。 * 反対しているものは、よくわかった。 そろそろ、 望んでいるものの話を聞きたい。 音楽の話をするときには、 あんなに豊かな言葉を持っている人なのだから。
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イーロン・マスクのすごいところは、 十年先の夢を見せて、 今日のお金を集めてしまうところだと思う。 こう書くと、だいぶ怪しい。 でも、株価とはもともと、 未来への期待にも値段をつけるものだ。 「今、これだけ儲かっています」 だけではなく、 「この先、こんな世界をつくります」。 まだ来ていない未来に、 今日の財布が開く。 そもそも投資とはそういうもの。 * ただ、大きなことを言うだけなら、 居酒屋にも人材は豊富にいる。 すごいのは、その夢の組み立て方だ。 電気自動車。 エネルギー。 AI。 ロボット。 宇宙。 別々に見える話を、 一つの未来の景色としてつなげて見せる。 すると、 「そんなこと、できるわけがない」が、 「そうなるなら、今これが必要なのか」 に変わる。 夢に、順番が生まれる。 * そこへ、お金が集まる。 人が集まる。 工場ができる。 開発が進む。 実現したから、お金が集まる。 それもある。 でも、その順番だけではない。 実現すると思わせることで、 実現するためのお金を集める。 夢を見せること自体が、 すでに実現の工程に入っているのだ。 もちろん、語った未来が、 全部予定どおりに届くわけではない。 それでも、本当に動くものにしてしまう。 ロケットは、本当に戻ってきて、立った。 車は宙を舞って、着地した。 だから、次の夢にも説得力が生まれる。 * 「夢みたいなことを言うな」 という言葉がある。 でも、まだ存在しないものは、 最初は全部、夢みたいな話だったはずだ。 大切なのは、 夢を語るか、現実を見るか、ではなく、 その間に何を積み上げるかだと思う。 壮大な夢の続きが、 翌朝の具体的な仕事になっている。 そこまで来ると、 居酒屋の話も侮れない。 お会計のあとが、本番なのだ。
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このイーロン・マスクのプレゼン、「空飛ぶ車です」って言う前に、逆さまに走らせて空中で回転させて着地させちゃう。言葉より先に見せるのがずるい。Steve JobsのMacBook Airのプレゼンに匹敵するような伝説的なプレゼンだ。
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空飛ぶクルマの動画を見た。 壁をのぼり、空中で回転し、 噴射しながら宙に浮いて、着地する。 「AI動画を見せられてもねえ……」 私も、そう思ってしまった。 * 不思議な時代になった。 想像したことが何でも映像になるので、 本当に実現したことまで、 想像のほうへ片づけてしまう。 こっちはスマホを指で滑らせながら、 「はいはい、未来ね」 と通り過ぎようとしていた。 その未来を、本当に作っている人がいた。 * 『かもめのジョナサン』を思い出した。 食べるためだけでなく、 飛ぶことそのものの可能性を追いかけるカモメ。 もっと速く。 もっと自由に。 まだ誰も知らない飛び方で。 ああ、私たちは、 『かもめのジョナサン』と同時代に生きている。 * もちろん、空飛ぶクルマで スーパーへ行く日は、まだ遠いだろう。 卵が無事かも気になる。 でも、今はそこではない。 誰かが、本当に飛ばした。 私はいつの間にか、 空飛ぶクルマよりも、 それを見て驚けなくなりかけていた自分に驚いていた。 「そんな夢みたいなこと」と
ジョナサンを笑う群れの、
一羽になるところだった。 まだ、こんなことが起きる。 指を止めて、 もう一度、ちゃんと見た。
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蕎麦を食べたい。 ときどき、そういう欲望が猛烈にやってくる。 お腹が空いた、とは少し違う。 蕎麦のなんらかの成分を、 身体全体が欲している気がする。 何の成分かは知らない。 とにかく、つゆにつけて、ずるっとすすりたい。 家で食べるなら、 私はセブンイレブンの乾麺が気に入っている。 いろんなメーカーのものを茹でたけれど、値段とおいしさを考えると、結局ここに戻ってくる。 問題は、おかずだ。 * 蕎麦には天ぷら。 わかっている。 とてもよくわかっている。 しかし、 コンビニで天ぷらはなかなか手に入らない。 大きめのスーパーに行けば惣菜売り場にあるけれど、 天ぷらは揚げたてからの落差が大きい。 さっきまで、さぞおいしかったのだろう。 そんな過去の栄光を感じながら食べることになる。 では、自分で揚げるか。 私は蕎麦を茹でたかっただけである。 天ぷらの調理のハードルの高さよ…。 * 考えてみると、 蕎麦だけでは少しクールすぎるのだ。 合間に、油っぽいものが欲しい。 油をひと口食べて、蕎麦に戻る。 するとまた、蕎麦がうまい。 この往復が欲しいのだ。 それならソーセージを焼けばいい。 ハンバーグでもいい。 焼肉なんて、油も旨味も申し分ない。 ところが、それでは違う。 ソーセージを食べると、口の中がソーセージになる。 ハンバーグを食べると、夕食がハンバーグになる。 焼肉にいたっては、蕎麦に戻っても、 焼肉の記憶しか残らない。 * 私は脂が欲しいのであって、 主役を交代してほしいわけではない。 今日、会いたかったのは蕎麦なのだ。 そこへ肉がやってきて、 「俺様が来てやったぜ」 と真ん中に座る。 うまい。 うまいのだが、今日はあなたの会ではない。 その点、天ぷらはたいしたものだ。 油の満足感があって、 茄子なら茄子、海老なら海老のおいしさもある。 それでいて、蕎麦をもうひと口すすりたくなる。 ちゃんと蕎麦に話を戻してくれる。 天つゆと蕎麦つゆに、 醤油と出汁という共通点があるのも大きいのだろう。 長年、隣に座っているだけのことはある。 * いま気になっているのは、 カリッと焼いた油揚げに、 大根おろしという組み合わせだ。 醤油を少し。 香ばしさと油っぽさがあって、 大根おろしでさっぱりもする。 これなら、蕎麦の隣にいてくれそうだ。 次は油揚げを買っておこう。
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ニーチェの『この人を見よ』は、少し切なかったと書いた。 でも、この本には、 ずっと好きな話がある。 葡萄屋のおばちゃんの話だ。 * 露店で葡萄を売っている老婆が、 ニーチェのために、最も甘い房を選んでくれた。 ちゃんと選び終えるまでは、 気が済まなかったという。 そして、こう続ける。 「哲学者たるものはざっとこれくらいにならなけりゃあ駄目である」 哲学の話をしていたはずなのに、 いきなり葡萄が出てくる。 しかも、哲学者の合格基準として。 でも私は、ここに、 哲学をする意味のようなものを感じていた。 * おばちゃんは、ニーチェの本を読んでいない。 目の前のひげのおじさんが、 どれほど人間について考えているかも知らない。 それでも、 この人には、いちばんおいしい葡萄を渡したい。 そう思わせる何かが、 彼にはあったのかもしれない。 * 考えれば考えるほど、 人間の見栄や、弱さや、ずるさが見えてくる。 それだけなら、 人間が嫌いになって終わることもある。 何を言われても、 つい、その裏を読む。 ニーチェを読んでいた若い私にも、 そういうところはあったと思う。 人間を見抜くことと、 人間を理解することの違いが、 まだよくわかっていなかった。 * もっと深く考えていくと、 見えてくるものも変わってくる。 なぜ、その人は見栄を張るのか。 なぜ、そんな言い訳が必要なのか。 何を怖がり、何を守ろうとしているのか。 そして、 自分だって、その人間の一人なのだ。 そこまでわかってくると、 人に向ける眼差しも、 少し変わる気がする。 弱さに気づいても、 すぐに指をささなくなる。 相手がうまく言えないことを、 少し待てるようになる。 そういうものは、 黙っていても、どこかに出る。 声や、表情や、 葡萄を選んでもらっているときの佇まいに。 * 私は、実際のニーチェを知らない。 気難しい日もあっただろうし、 いつも穏やかな人だったと言いたいわけでもない。 ただ、彼がこの出来事を喜び、 「哲学者たるもの」と書いたことが好きなのだ。 考え抜いたことが、 その人の生き方や、 人との接し方にまで滲んでくる。 本を一冊も読んでいない人にも、 何かが伝わる。 彼もそこに、 哲学者として大切なものを感じていたのではないか。 * 哲学のその先に、 葡萄屋のおばちゃんが、 こちらのために甘い房を探してくれるような場所がある。 私は、そこに惹かれたのだと思う。 ずいぶん遠くまで考えてきた人が、 目の前の人とは、 なんだか温かいやりとりをしている。 哲学者たるもの、 ざっとこれくらいにならなけりゃあ駄目である。 笑って読んだ言葉なのに、 歳を取るほど、合格基準が高くなる。
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Sugarfields /『バランス』【MV full】 #shorts 元動画は➤youtu.be/UmiWvakZ640
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